skip to Main Content
ハラール対応 ムスリムインバウンドセミナー

知らなくて大丈夫?ハラール対応で重要なこととは?

世界人口の1/5以上(約16億人)といわれるムスリム教徒。

そのうちの数億人は、日本の近隣諸国に住んでいるのです。

したがって、今後ムスリムの訪日観光客数を増やすには、「ハラール対応(ムスリム客に対するおもてなし)」の基本を学んでおくことが重要なのです。

佐野市でのムスリムインバウンドセミナー ハラールメディアジャパンの守護代表

とはいうものの、ムスリムについて、いったいなにから勉強すればいいのでしょうか…

そこで、ムスリムについての理解を深めるため、栃木県佐野市で開催された両毛ムスリムインバウンド推進協議会主催の「ムスリムインバウンドセミナー【実践編】」に参加してきました!

今回のムスリムインバウンドセミナーで、ご登壇されてた「ハラールメディアジャパン」の守護社長や「西麻布くすもと」の楠本氏から学んだ「ハラール対応(ムスリム客に対するおもてなし)」のポイントについて、以下に詳しく書いていきます。

こんなに多いムスリム教徒

近隣のアジア主要国のなかには、日本の人口(約1億2,700万人)を上回る数のムスリム教徒が住んでいる国があります。

インドネシア 2億2千万人 (人口のうち88%)

中国  2千700万人  (人口のうち2%)

マレーシア  1千800万人 (人口のうち61%)

フィリピン  500万人  (人口のうち5%)

タイ  350万人 (人口のうち5%)

シンガポール 80万人   (人口のうち15%)

–その他—

バングラディッシュ  1億4千万人 (人口のうち90%)

インド 1億7千万人 (人口のうち15%)

引用:ハラールメディアジャパン

ハラールメディアジャパンによれば、日本に来ているムスリム観光客数は30-50%の割合で年々増加しているとのこと。

これは全訪日観光客全体の5%に迫った人数です。

また、同じくハラールメディアジャパンによると、ムスリム客が日本への旅行で懸案事項として挙げているのは、①ハラールの食事(41%)、②安心してお祈りができる場所の確保(31%)となっています。

逆にいえば、この2点が解消されれば、訪日客数の増加につながるということです(これはチャンスです)!

ハラールとは?

ハラール認証

ヒト・モノのグローバル化にともない、われわれ日本人も、最近になってようやくハラール(あるいはハラル)という言葉を聞くようになりました。

しかしながら、ハラールの中身そのものはあまり理解が進んでいないようです。

イスラム教では、豚肉やアルコールの飲食が禁じられていることはよく知られています。

しかし、そのほか牛・鶏・羊などの肉類も、イスラムの教義に則って処理されていないものは摂取が禁じられているのです。

このことはご存じでしたか。

そのため料理に豚肉やアルコールを使用していないから安心だと思っていても、醤油・みりん・酢といった調味料にはアルコールが含まれていますし、ヨーグルトやマシュマロに至っては(信じられないことに!)豚の成分が入っているものもあるので、要注意です。

ハラール認証は必要なかった?

私は今回のセミナーに参加するまでは、ムスリム客がレストランを選ぶ際には「ハラール認証」を第一の基準にしているのだと思いこんでいました。

ところが、ハラールメディアジャパンの取った統計によりますと、実際にハラール認証を必須としているムスリム客はおよそ5人に1人程度に過ぎないらしいのです。

さらにお話を詳しく伺っていると、ハラール認証制度はイスラム圏からの輸出の際に商品がハラールであることを証明するためだけのものであって、各国のレストランがそれぞれにムスリム対応をしていれば認証の有無はあまり気にしていないというのです。

ハラール対応のポイント

では、ムスリム観光客の不安を払拭するためにわたしたちは何をすべきでしょうか?

戸惑いをお感じの観光関連の方も多くいらっしゃるかと思います。

しかし、セミナー主催者の話を聞いてみると、ムスリム対応はそれほど難しいものではないそうです。

ハラールメディアジャパンによると、ホテル・旅館などの宿泊施設や観光アトラクション・公共施設では、下記のような準備をすることで、ほとんどコストをかけることもなく対応できるとのことです。

ホテル・旅館などの宿泊施設の場合

キブラコンパス礼拝マットを3枚程度用意し、フロントで貸し出しをする(下に参考例を紹介)。

・自動販売機のアルコール飲料には「Alcohol」 と表記する。

・ビデオ視聴ができる機器・ネットワークにはアダルトカテゴリーの制限をかけること。

・ホテルの近くのハラールレストランをリストアップし、要望があったときは的確に案内できるようにする。

アトラクション・公共施設の場合

・空きスペースにはつい立を用意し、礼拝スペース(畳一畳分程度)を設ける。

・可能であれば、お清めができるようにトイレの床を拭くためのモップを置く。

・可能であれば、男女別の礼拝スペースを用意する。

*キブラコンパスや礼拝マットは下のようにAmazonでも安く手に入りますし、礼拝マットは清潔なものであれば形状はなんでも良いとのこと。

キブラコンパス

上のリンクをクリックすると、Amazonのページが開きます。

(800円前後〜)

礼拝マット

上のリンクをクリックすると、Amazonのページが開きます。

(2,500円前後〜)

飲食店の場合

飲食店の場合は、上記と比べるともうすこし複雑になりますが、重要なのは「ルールとポリシーは自らが決める」「情報開示」の2点です。

守護社長によると、飲食店は下記の10段階を参考にするとよいそうです。

  1. 現在使っている素材・調味料・調理器具を整理する。
  2. ハラールやベジタリアンについて理解する。
  3. どこまで対応できるかを決めておく。
  4. スタッフの教育。
  5. 英語表記のメニューを作る。
  6. メニューにピクトグラムを使用する。
  7. 使用できる材料を確認し、場合によってはハラール商品を仕入れておく。
  8. 使用できる材料でレシピ開発・調理。
  9. (ムスリムに)実際に食べてもらって感想を聞く。
  10. プロモーション・告知をする。

プロの和食屋さんのすご技ハラール対応

「さすがに和食屋はハラールに向いていないでしょ」と思っていませんか?

わたしもその一人でした…

楠本氏によるハラール対応和食
写真:ハラール和食の試食会

西麻布で「西麻布 くすもと」を営む楠本勝三氏は「日本に来たムスリムのお客様にも、伝統的な和食をぜひ味わってもらいたい」という常連のお客様からのリクエストを受けて、数年前からハラール食の提供を始めたそうです。

たとえば、醤油・味噌・酢・みりんの調味料や肉類はすべてハラール認証のものに変更しました。

また、食器・グラス・調理器具類もハラール専用のものを準備し、さらには通常使用のものとの混在を避けるためにケースに入れて別々に保管。

そして、ハラール食材用の冷凍ストッカーと冷蔵スペースを用意するという徹底ぶり。

飲食店の業態によって、どこまで対応するかは個々の判断になりますが、楠本氏の場合は、ハイエンドのお客様に最高のオモテナシができるよう工夫されているうえ、通常提供している日本食と比べても遜色のない、繊細で質の高い料理をお出しするというプロ料理人のつよいこだわりが感じられます。

(下は試食会で頂いたハラール和食のお品の数々)

ハラール煮物(ハラール認証のみりん使用)

アルコールの入っていない「ハラール認証」のみりんなどを使った煮物

ハラール和食(エビと日光軒の餃子)

エビと日光軒のハラール水餃子のコラボレーション

ハラール神戸牛

訪日ムスリム客に大人気のハラール神戸牛

デーツと抹茶をコラボしたハラールデザート

デーツを使った抹茶のデザート

まとめ

ハラール(ハラル)については、これまでも両毛ムスリムインバウンド協議会や栃木県佐野市の日光軒(ラーメン屋さん)にお邪魔した際に話題になることがありましたが、ムスリム旅行者向けメディアを発行されている方のセミナーを受講するのは今回が初めてでした。

セミナーを受講した印象としては、ムスリム対応はむずかしく考えすぎることなく、「可能なことからでやっていけばいいんだ」と、これまでの認識を改めました。

インターネットで見つけてきた、こちらの記事(SmartMeetings.com)では、昨今ではムスリム教徒の観光客数が世界で最も高い伸び率を示していると指摘しています。

さらに同記事の調べでは、世界の旅行消費の12%以上、一年間の旅行支出も(メッカの巡礼を除いては)15兆円以上にのぼるという驚異的な数字をたたき出しています。

すべての宿泊施設や飲食店が画一的にハラール対応をするべきだと思いませんが、「海外からあたらしいお客様を受け入れたい」「競合他社との差別化を図りたい」「既存の商品に付加価値を与えたい」とお考えなら、 すでに紹介してきたように、ハラール対応は低予算でも可能です。

ぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。

ジャパン・ワールド・リンクのブログ プロフィール画像 宮地アンガス

ブログ作成者:宮地アンガス

ジャパン・ワールド・リンク代表。栃木県の田舎町育ち。現在英国と北関東を拠点として「世界から北関東へ。北関東から世界へ。」をモットーに、日本・北関東のインバウンド及び海外進出を支援中。

毎週月曜日に希望者全員に無料メルマガを発行(詳細はこちら)。

Back To Top